『ここにだって天使はいる』スペシャル公演
2015年3月30日(月)、難波の片隅で伝説の公演が行われた。
それは来月4月3日に卒業する山田菜々さんのために用意されたスペシャル公演だった。
この公演が発表された時、私はスマホを持つ手と心が震えた。
あの、山田菜々さんが『ここにだって天使はいる』公演に出演するということが嘘のような、夢のような、そんな気分だった。
私や多くのNMB48ファンが歓喜したのには多くの理由があった。
ジャニヲタのみなさんにとって山田菜々さんの紹介は不要だと思うが、まずは簡単に彼女のことを紹介したいと思う。
NMB48の1期生であり、元チームNの副キャプテン。現チームMキャプテン。
1期生最年長であり、また過去にアイドル活動をしていた経験を活かし、NMB48を影で支えてきた人物。NMB48をここまで引っ張ってきた功労者であることは間違いない。「おばちゃん」や「ちんちくりん」などと揶揄されることも多い彼女であるが、メンバーからの信頼はかなり厚い。メンバーから語られる彼女のエピソードからは、細かな気配りや優しさが溢れており、人柄の良さが感じ取れる。
48グループにおける”オリジナル公演”の存在
AKB48は各グループが拠点とする劇場でほぼ毎日、劇場公演を行っている。
それぞれのチーム毎に行われる公演は異なり、”オリジナル公演”と”おさがり公演”のどちらかを行うチームがほとんどある。
オリジナル公演は、たとえば関ジャニ∞における『関ジャニズム』であり、その内容の公演を関ジャニ∞が月に何度か行っていると思ってもらえれば分かりやすいと思う。
おさがり公演は、その『関ジャニズム』公演を毎回ジャニーズWESTが行っていると言えば、なんとなくお分かりいただけると思う。
出来たばかりのチームは先輩チームのおさがり公演を続け、力がついてきた頃にようやく新公演がもらえる。
ジャニーズのデビュー組も、デビューしたころのコンサートでは先輩の楽曲も何曲か歌うが、自分たちの楽曲が増えるにつれ自分たちの楽曲のみでコンサートが構成される。
自分たちのコンサート(公演)が作れるまでには、48Gもジャニーズも、いくらかの時間と実績が必要となるのである。
48Gのメンバーにとって、自分の所属するチームがオリジナル公演を行うことは、一つの夢である。また、すでにオリジナル公演を持っているチームは新公演を行うことを目標に頑張っている。
度重なる延期
山田菜々さんがかつて所属していた旧チームNも例にもれず、オリジナル公演をもらうことを夢見ていた。
しかし、待てど暮らせど新公演を彼女たちが行えることはなかった。
ようやく秋元先生から「チームNの新公演の楽曲を作っている」などという匂わせ発言があり、誰もがチームNのオリジナル公演を期待したが、それでも公演は中々決まらなかった。
オリジナル公演がを行うと発表された後も、度重なる延期となり、結局チームNがオリジナル公演『ここにだって天使はいる』を行うまでには結成から約2年半を要した。
2011年4月: 日経エンタメ「夏頃から」
2012年1月2日: NMBオリジナル公演選曲なう
2012年2月29日: Nオリジナル公演 今年の5月12日から
2012年5月3日: Nオリジナル公演延期発表
2012年6月30日: Nオリジナル公演 今年の8月19日から
2012年7月8日: 今日は1日AKB三昧「もうすぐチームNが完成してリハーサルに入る」
2012年8月9日: Nオリジナル公演再び延期
2012年9月20日: Nオリジナル公演 今年の10月8日から
2012年10月1日: Nオリジナル公演三度延期
2012年12月1日: 今日は1日AKB三昧「チームNはもうすぐじゃないですか!!」
2013年4月13日: 「現状、進展はございません。」2013年8月7日: 京セラドームで新公演から1曲披露
2013年8月23日:2013年10月26日「ここにだって天使はいる」公演スタート発表
ようやく念願のオリジナル公演を手にした旧チームNだったが、それまでの間になんと山田菜々さんがチームMに移籍してしまったのである。
誰よりもチームNのオリジナル公演を熱望していた彼女は、その夢を叶えられぬままチームを去った。
チーム移籍は彼女本人の希望であったというし、実際彼女がチームMに移籍したことで、NMB48全体が底上げされたのも事実であるが、彼女やメンバーにとって”山田菜々がチームNとしてオリジナル公演を行うことが出来なかった”ことは実際問題として悔しかったのだと思う。
最初で最後のここ天公演
そんな山田菜々さんがかつて所属したチームNのオリジナル公演『ここにだって天使
』に出演することが決まった。
約1年ほど前に48Gは大きな人事異動があり、チームメンバーが
がほとんど入れ替わった。しかし、山田菜々さんのために旧チームNのメンバーが出演することとなった。
旧チームNが好きだった私は、出演メンバー一覧を見ただけで目頭が熱くなった。
冒頭にも述べたが、本当に夢のような出来事だった。
もちろん公演も申し込んだが、あっさり落選した私は、とにかく公演の成功を願い、自宅で楽しむことにした。
開演の少し前に呟かれた山田菜々さんのツイートに心が躍った。
大阪着いた😎
最初で最後のここ天公演✨
伝説になる予感。(笑)
— 山田菜々 (@yamada7dayo) 2015, 3月 30
「伝説になる予感」と、そう本人が冗談まじりに言っても、それが事実になるだろうと誰しもが思った。かつては当たり前だった山本彩・渡辺美優紀・山田菜々の3TOPが、そして高いパフォーマンス力を備えた旧チームNが揃うのである。
山田菜々さんは、たった一夜のために覚えたとは思えないほどのパフォーマンスだった。
振りや立ち位置などはもちろん、パフォーマンスや表情のひとつひとつを作り上げてきた。
圧倒的な実力を、私たちは見せつけられた。
ただでさえ忙しい彼女であるが、卒業前で色々な仕事が立て込んでいるだろう中、いったいいつ練習したのだろうか。それは分からないが、きっと短時間で習得したに違いない。
ひとつの公演を習得するのがいかに大変なのかは、ファンですら想像を絶するものだと私は思っている。
たった一度の公演のために振り入れをし、公演を習得した山田菜々さん。
NMB48は大きな存在をもうすぐ失ってしまうのだなと、改めて感じた瞬間だった。
山田菜々さん以外のメンバーも涙を流しつつも、楽しそうに踊っていて、私はそれが本当に嬉しかったし、見ていて幸せな気持ちになった。
「いい公演だった」本当にその一言に尽きると思う。
最後に
私は、この感動をジャニヲタのみなさんにも伝えたくて、どうにかジャニーズで例えようとした。中山優馬さんと7WESTで例えようか、K.K.Kityで例えようか、本当に色々考えたが、上手いこと当てはめることが出来なかった。非常に残念であるし、自分の文章力と頭の悪さを恨みたくなった。
この公演を見て、最後に最新シングル『Don’t look back』を踊る山本・渡辺・山田の3TOPのパフォーマンスを見て、「NMB48って最高で最強だな」と痛感した。
今井翼さんがかつて中山優馬さんのことを「大阪の宝」と表現したそうだが、この3TOPは「難波の宝」だと私は本気で思っている。
素晴らしいパフォーマンス力やダンススキルはもちろんのこと、この3人のバランスの良さは語りつくせないものがある。
そんな3TOPもあと少しで見られなくなってしまうのである。
なんとも残念で、寂しい。
ところで今晩は、松竹千秋楽でTLが埋めつくされていた。
ジャニーズ界隈では曖昧なことが多く、真偽は不明であるが、ステージを去る者が出てくることは今も昔もあることである。抗うことのできない事実だ。
言い方は悪いが、アイドルという華やかな世界ではよくあることでもある。
応援しているアイドルの卒業を何度も体験してきたが、いつまで経っても慣れるものでは決してない。
寂しいものは寂しいのである。
「だから春は嫌いなんだ」と呟いたフォロワーさんのその一言が頭に残っている。